いいがやクリニック - 目黒区緑が丘、泌尿器科・内科・外科・皮膚科

性行為感染症について

尿道炎について

尿道炎は大別すると、淋菌性尿道炎(淋病)と、クラミジア尿道炎に分けられます。

淋菌性尿道炎は、性行為やオーラルで感染します。感染後3~4日で、排尿時に多量の膿を伴った焼け付くような痛みを感じます。

一方、クラミジア尿道炎は症状が緩やかです。感染後1週間~1ヶ月ほどしてから尿道口の痒みが出始め、奥へと違和感が進行していきます。膿も少量です。中には、症状がほとんど出ない人もいます。奥さんが妊娠されて初めて、ご主人ともども陽性と指摘されることもあるくらいです。

淋菌性尿道炎とクラミジア尿道炎を合併することもよくあります。淋菌性尿道炎の方が症状が強いため、それが軽快すると通院を止めてしまう方もいます。しかし、両方が完治しているかどうかは検査を行わないと分かりません。PCR法による検査を必ず受け、陰性になったのを確認してから、通院を終了しましょう。

陰部ヘルペスについて

陰部ヘルペスの中でもよく見られるものは単純ヘルペスII型といい、体調を崩したときに発症します。性行為によって移るもので、20歳代以上では50%ほどの方に罹患経験があります。また、単純ヘルペスI型 がオーラルによって移るということも稀ではありません。

尖圭コンディローマ(コンジローム)について

またの名をHPV(ヒト乳頭腫ヴィールス)感染症です。男性の場合、陰茎の冠状溝にカリフラワー状の小さな腫隆が1~数個現れ、さらには、亀頭、包皮にもおよびます。

環状溝(亀頭のすぐ下にあるくびれ)にある小さなブツブツは、尖圭コンディローマではなく陰茎小体といって神経の集まるところです。ですから、自己判断で削ったりしないでください。また、腹側(後ろ側)には左右対称に脂肪沈着があります。これも、尖圭コンディローマではありません。

女性の場合、外陰部に好発しますが、HPVのサブタイプ(型)によっては、子宮頸がんの原因にもなります。

これらは旧来、液体窒素、電気メスでの焼却によって治療していました。海外では、より簡単で再発率の低い治療法として塗布クリーム(もともと扁平上皮癌の治療薬であったアルダーラクリーム)が認可されていましたが、最近ようやく、日本でもそのクリームが治療に使えるようになりました。

アルダーラクリームは、日本では「ベセルナクリーム」という製品名になっています。昨年12月に認可され、4月には、薬が市販された後に効果や副作用について調査する"市販後調査"の結果も発表されました。ちなみに市販と言っても、国内での使用には医師の処方が必要です。

就寝前に患部へ塗布し、6~10時間後に洗い流すという用法を1日おきに続け、早ければ1ヶ月、平均で2~3ヶ月のうちには改善が見られます。使用法や副作用に対する考え方がポイントになる薬ですので、処方される際には医師の所見をしっかり聞いておきましょう。

毛じらみについて

発生すると、陰毛に沿って著しい痒みが移動します。剃毛、スミスリンシャンプー(駆虫剤)による治療が効果的です。

梅毒について

梅毒に感染すると、性交後、硬性下疳という痛みのない潰瘍が陰茎に形成されます。それから3週間以内に、足の付け根と下腹の境目にあたるソケイ部のリンパ節に、痛みのない腫脹がみられます。また、3ヶ月前後に、腹部にバラ疹という鮮やかな皮疹、足底に湿疹が現れてきます。梅毒と言ってもあまりなじみがないでしょうし、確かに昔にくらべて罹患率は圧倒的に減っていますが、現在でもたまに外来の初診で見かけることがあります。注意してください。